ねえねえ、魔理沙
最近、調査士の間でGNSS測量の話題が盛り上がってるみたいなんだけど…
ああ、調査士の間でDroggerがちょっとしたブームになってるんだ
Droggerってなに?
Droggerはオープンソースを多用したGNSS受信機で、
2022年に国土地理院1級GNSS測量機に認定されたことで人気に火が点いたんだ
じゃあ、今日はそのDroggerのことについて教えてよ
オッケー
わかった!
Droggerとは?
DroggerDG-PRO1RWS
Droggerとは長野県松本市に本社を置く株式会社ビズステーション(https://www.bizstation.jp/ja/corporate/)が販売するGNSS受信機の名称です。
受信機本体であるDG-PRO1RWSは測量器というよりはGNSS電波の受信器&データロガー(データ記録機)といった方が良いかもです。
同製品には以下の種類があります。
- DG-PRO1RWS:RTK GNSS DMPを搭載した標準モデル
- RWS.DC:みちびきCLAS対応に加えMicroSDカードスロット搭載
- RWS.DCM:MovingBase対応モデル ←移動体での観測のため測量では使わない
通常測量で使用するのは1と2の受信機です。
受信機パッケージ
受信機だけだとGNSSの電波を受信できないので受信のためのアンテナが必要です。
この製品の命名規則がちょっと変則的なのでわかりにくいのですが、おおむね以下の通りです。
仕様の詳細はこのページで確認したください。
RWSパッケージ:受信機はDG-PRO1RWS
DG-PRO1RWS+標準アンテナというセパレートパッケージです。
主に基地局や車載運用に向いている形態です。
DG-PRO1RWSに代わってRWS.DCを使用することも可能ですが、パッケージ販売されていないのでアンテナ、ケーブル類を別買いする必要があります。
RWXパッケージ:受信機はDG-PRO1RWS又はRWS.DC
これがGNSS測量でDroggerを使う基本パッケージです。
高性能4周波測量アンテナ (L1 L2 L5 L6) Harxon HX-CSX601Aを搭載しています。
受信機にDG-PRO1RWSを使うとRWX、RWS.DCを使うとRWS.DCとなります。
GNSS測量のレシーバとして使うならこの2機種から選ぶのが順当です。
RWP:受信機はDG-PRO1RWS
DG-PRO1RWS+標準アンテナ u-blox ANN-MB-00をコンパクトにまとめたパッケージ。
とにかく軽量コンパクト(270g)。どんどん測っていきたいならこれをポールの先に付けて観測すれば現況測量のスピードアップになるでしょう。
RWM:受信機はDG-PRO1RWS
ウェアラブルGNSSといっても良い軽量仕様(110g)。
ドローンに搭載することも可能とのこと(たぶん改造申請が必要)。
ヘルメットに装着すれば両手が使えて機動力抜群!
山などの測量で伐採しながらの観測も可能かも?
RWXとRWX.DCの違い
CLAS対応+SDカードスロット
だいたいラインナップがわかってきたよ。
で、RWX化RWX.DCにしようかと思ってるんだけど、どっちがいいの?
みんなそこで悩む人が多いみたいだな。
結論から言うとCLAS対応が必要かどうかと
スタティック観測をするかどうかでSDカードスロットが必要かが決まるんだだな。
SDカードスロットはわかるんだけど、CLASって何?
結論から言うと普通にVRS方式でGNSS観測をするならRWXで十分です。
ただ、モバイル電波が届かないような山奥で測量するならCLAS対応した方が良いかもしれません。
また、スタティック観測をするのであればSDカードスロットがある方が良いと思います。
次でそれを説明します。
CLAS対応とは?
CLAS対応とはCentimeter Level Augmentation Serviceの頭文字をとったもので、日本語ではセンチメーター級測位補強サービスといいます(センチメーターとサービスは日本語か?)。
つまり、センチメーター級の測位をするための補強電波を出している、ということで日本のGNSSであるみちびきならではの補強信号を受信できるかどうかがCLAS対応の意味するところです。
で、このCLASに対応していると補強信号を受信できるので、VRS方式に不可欠なモバイル通信ができない場所でも上空から降り注ぐ補強信号であるL6信号が受信できれば6センチの精度の測位ができるわけです。
街中でも同様の観測はできますが、モバイルが使える場所なら素直にVRS方式で観測した方が良いような気がします。
VRS方式(ネットワーク型RTK-GNSS測位)
ちなみにVRS方式についてちょっと解説しておきます。
詳細な解説はもっとちゃんとした情報ソースで得てください(汗)
VRS方式とは仮想基準点方式(Virtual Reference Station)といい、大まかな仕組みは以下の通りです。
- 国土地理院の設置する電子基準点がGNSS測位により観測データを位置情報サービス事業者に供給
- 位置情報サービス業者はそのデータに基づき仮想基準点の位置をGNSS受信機に送信
- GNSS受信機はその仮想基準点との位置関係で自機の位置を測位
この位置情報サービス事業者とのデータのやり取りにモバイル回線を使います。
なのでモバイル回線が届かない場所ではVRS方式は使えないのです。
SDカードスロット
SDカードスロットが必要というかあった方が良いシチュエーションがスタティック観測をするときです。
もしSDカードスロットがないRWXでスタティック観測をすると、スタティック観測をする受信機分のスマホが必要になるんです。理由は観測データの記録をスマホがするからです。
スタティック観測は通常90分から120分。
それぞれの観測点に設置した受信機すべてで一斉同時に行います。
なのでたとえば4か所でスタティック観測をすると4台のスマホがそれぞれのポイントに必要なんです。
これがSDカードスロット搭載のRWX.DCなら記録はSDカードにします。
ただし、Droggerの制御にスマホが必要なので結局台数分必要なんですけどね。
なので利点としては”2時間Droggerのそばにスマホを放置せずに済む”ってくらいですかね。
まとめ
調査士が使うならRWX
ということで結論としては土地家屋調査士が通常使いするならRWXがコスパを含めて最適解。
新しい技術のCLASを試したいならRWX.DCも悪くないです。価格が1万円ちょい高くなるだけですからね。
もっと気軽にGNSS観測をしたいならRWPやRWMも悪くないと思います。
壊れやすい高精度アンテナ(キノコの傘の部分)がないので、現況測量や建物の調査にも使いやすいと思います。
自力運用が基本
Droggerを運用するにあたり、少しハードルが高いのは操作、トラブルなどは自力運用、解決する必要がある、ということです。
必要アプリも無料公開されてるし、設定や操作方法も公開されていますが、それが必ずしも土地家屋調査士に向いたマニュアルばかりでないところが難点。
多くの情報から自分に向いた設定や操作方法を探さないと運用しにくいのです。
桜町測量ブログ 日々是精進
そんな中、桜町測量さんのブログがかなり情報がまとまっててDrogger初心者には人気があります。
自分も大変お世話になっています。
Android端末画面を表示して解説してくれるので、直接的でわかりやすいです。
調査士にはRWXが最適なんだね
そうだな
みちびきのCLASに興味があるならRWX.DCも大した価格上昇無しに試せるから
悪くないと思うぜ
でも、価格が安い分運用やトラブルシューティングは
自力でしないとダメなんだね
そんな中、桜町測量のブログは情報がまとまってて
とても助かるんだぜ
調査士仲間でコミュニティを作っても良いかもだね
このブログでも今後Droggerの情報を出していこうと思ってるのぜ
そうなんだね
魔理沙、今日も解説ありがとう
どういたしましてなんだぜ
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