みなさん、こんにちは。
ゆっくり調査士、解説をする魔理沙だぜ。
みなさん!元気ですか!
元気があれば何でもできる!
1・2・さ…
おいおい、霊夢、突然何なのぜ。
アントニオ猪木さんが闘病中だと聞いてね。
やっぱり人間は健康が一番だと思うのよ。
そうだな。健康といえば良い住環境が欠かせないのぜ。
そうだね。魔理沙の家は一戸建て?
私の家はマンションなのぜ。
そうなんだね。
そういえばマンションの登記って一戸建てと同じなの?
マンションの登記は一戸建てとはちょっと違う。
じゃあ、今回はそのマンションの登記について解説をするのぜ。
区分建物の登記
現在、住宅の形態は一戸建てとマンションの比率は5:4くらいの比率だ。
この数値は全国平均で、都市部になるともっと比率が上がってくる。
それほど一般的な住宅となっているマンション。
でもその不動産登記は一般の人が思っているのとはちょっと違ってる、へんてこりんな手法を取ってます。
今回はこのマンションの登記方法である区分建物の登記について話していこうと思う。
建物の種類
登記法上の建物の種類
マンションというのは日本独特の呼称で、英語ではコンドミニアム(condominium:分譲アパート)と言います。
不動産登記では区分建物と呼び、通常の建物を普通建物又は非区分建物と呼びます。
マンションの種類
街で見かけるマンションは区分建物、非区分建物の両方があります。
しかし外観だけでは区分建物なのか区別がつきません。
しかし、大まかな識別として以下の傾向があります。
- 賃貸マンション:マンション全体を1個の建物として登記している=普通建物と登記は同じ
- 分譲マンション:1室を1個の建物として登記している=区分建物の登記
実際は登記を確認しないと断言はできませんが、だいたいこの傾向です。
ただし、分譲マンションの中には分譲貸しと言って分譲マンションをオーナーが賃貸に出している場合があります。
区分建物と非区分建物
では、区分建物とは何か?
- 1棟の建物内に複数の建物がある
- 一物一権主義の例外
日本の民法には一物一権主義というものがあります。
一つの物には一つだけの権利というものです。
ですので、[1]の”1棟の建物内に複数の建物がある”というのは成立しません。
しかし戦後、アパートや長屋のような建物の各部屋を個別に所有したいというニーズが出てきたため、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律:昭和37年法律第69号)が1962年に定められました。
ただ当初この法律は平家建の長屋や2階建て程度のアパートを想定していたため、高度成長期~開発ブームの時に急速に発達した建築技術による大型マンションにはうまく対応できませんでした。
昭和58年(1983)区分所有法改正(新区分所有法)
そこで1983年(昭58)区分所有法が改正されました。
便宜上ここでは旧法を旧区分所有法、改正法を新区分所有法と呼びます。
この改正で一番大きな改正点は敷地権の制定です。
敷地権 ~区分建物の土地の権利
敷地権とは?
土地の登記漏れが増加
敷地権とはマンションの敷地に対する権利です。
それまで敷地の権利は地上建物の所有者の共同所有(共有)として登記されていました。
旧法時代は建物と土地とを別々に登記していました。
なので建物の所有者はAさん、その建物の敷地持ち分(共有割合)はBさんという、土地建物の所有者が別々の登記が可能でした。
しかし不動産取引が活発になるにつれ、登記漏れ、担保漏れを頻発するようになりました。
つまり「建物の所有権移転登記はしたけど、土地の手続きを忘れる」という事態です。
土地と区分建物をパッケージング
登記直後に登記漏れに気づけばいいんですが、忘れたまま転売されたりするともうわけがわかりません。
そこで法務局は「土地の共有持分と区分建物を一つにパッケージングすりゃいいじゃん!」と思いつきます。
敷地権の爆誕です。
敷地利用権の一種
建物を建築するには敷地となる土地を利用する権利が必要です。
これは一戸建てもマンションも同じです。
一般にこれを敷地利用権と呼び、その権利の対象となるのは以下の4つがあります。
- 所有権
- 地上権(物権):借地権の一種
- 賃借権(債権):借地権の一種
- 使用貸借権:モノをタダで使わせてもらう権利
各権利の細かい解説は割愛しますが、このうち敷地権となる権利はアンダーラインを引いた1~3までです。
区分建物に土地の登記
建物と土地のパッケージングの手法として建物の登記に土地の登記を書くという飛び道具を思いつきました。
下の画像は区分建物の登記記録のサンプルですが、敷地権の記録が区分建物の記録にかかれています。
これは当時の法務省の人たちはかなり頭をひねったと思います。
この処理がされると下の画像のように土地の登記簿には「所有権敷地権」と登記された後、記録が停止されます。
以降、土地の登記は区分建物の方で処理することとなります。
これにより土地の登記忘れが激減しました。
建物の話なのに土地の方に話が行っちゃったね。
1983年の改正はマンションの登記で問題になっていた、土地の登記漏れ問題解決のためには一番重要な改正だったからな。
あーね。
区分建物
ねえ、魔理沙。マンションの部屋は区分所有って言うけど、
それは入居者全員で共同所有することとどう違うの?
良い質問だな。共同所有とは法律上は共有といい、1個の物を複数の人間で所有することなのぜ。
つまり共有というのは1個の物全体を全員で所有するという考えなのぜ。
じゃあ、自分の部屋も他の部屋の人の所有権がある、ってことになるのかな?
そういうことなのぜ。
しかし、マンションの区分所有というのはマンションの部屋1個1個に単独の所有権を認めるという概念なんだ。
じゃあ、区分建物として登記することによってはじめて「私の部屋は私だけのもの」ってことになるんだね。
区分建物の成り立ち
昔から概念としては集合住宅の部屋の単独所有というものはあったと思います。
ただ、不動産登記法はそういったことを予期していなかったので記録の方法がありませんでした。
しかし実際にはそういったニーズがあるため、以下のような方法を採っていました。
- 全体の建物面積に対して部屋の面積の割合の共有所有権を登記する
- 建物を壁でムリヤリ区分して1個の建物として単独の所有権を登記する
一見これで良さそうな気がしましたが、建物を運用していくうちに不具合が出てきたんです。
共有所有権の欠点
1の共有の欠点は実態との乖離です。
全体の建物が全員の共有であるために、何をするにも法的には全員の意思決定が必要です。
例えば自分の部屋の間取り変更をしようと思っても、厳密には他の所有者にも同意してもらわないとそれはできないのです。
住人同士で規則を作っても、それに従わない住人が共有者に入ってきたりするとトラブルの元となります。
ムリヤリ区分の欠点
2の壁で区分する、という方法はある意味現在の区分所有法と同じに見えますが、次のトラブルが考えられえます。
- 壁自体は誰のものか?→壁芯、共有など
- 壁の所有権を壁芯と捉えた場合、2部屋続きで所有した人は壁をぶち抜いてもいいのか?
- 区分した建物を取り壊しの際の所有権の範囲が不明瞭
実際、古い登記を見るとこのムリヤリ区分の登記に出くわすことがあります。
その場合、だいたい壁芯(壁の中心線)で床面積を分けてることが多いのですが、これが一部取毀の時にに問題になります。※1
また、壁芯で所有権を分けると、2部屋続きで所有すればその間の壁は全部自分のものです。
使い勝手を優先して壁を取っ払ったら建物が傾いた、というトラブルも頻発しました。
そのほか、共同廊下や階段などの管理はどうするかなど、普通建物では起きない問題もありました。
※1:この問題は現行法でも残っています。
区分所有法の成立
旧区分所有法
そこで従来の建物とは概念を変えた区分所有法(昭和37年法律第69号)が1962年に制定された。
この法律により従来の建物を普通建物、非区分建物とし、登記の記録法を区別したんです。
しかし旧法では前述の問題があったため、1983年に新区分所有法として改正されました。
新区分所有法
新区分所有法は前述の通り、敷地権の成立が一番のキモなんですが、それ以外にもここで現在の区分建物登記の骨子は出来上がりました。
改正区分所有法
その後何度か改正されましたが、これは周辺法律が改正になったことに伴う改正です。
その中でも大きめの改正は2002年(平14)にされた改正で、阪神淡路大震災の際に問題となった被災マンションの建替えの円滑化に関する法律に対応する改正がメインで、登記について大きな改正はありません。
現在の区分建物登記
区分所有と共有の違い
区分所有と共有は概念として違います。
- 区分所有:建物を部屋ごとに区分し、その区分した部分を単独所有します。区分の仕方には要件があります。
- 共有(共同所有):建物全体を1個の建物とし、所有割合に応じて共有所有権を登記します。部屋ごとの所有権という概念はありません。
区分建物の要件
区分された建物のことを専有部分の建物(専有建物)と呼びます。
区分建物として登記するためには次の要件があります。
- 構造的独立性:壁、天井・床スラブなどによって他の専有部分と遮断されていること。
- 利用上の独立性:外部や共用廊下などから直接専有建物にアクセスできること。
構造上の独立性とは
構造上の独立性とは、壁、天井・床スラブなどによって他の専有部分と遮断されていることです。
ドアも頑丈なものである必要があり、ふすまや簡易な木扉などでは構造上の独立性は認められません。
利用上の独立性
利用上の独立性とは、外部や共用廊下などから直接専有建物にアクセスできることです。
他の専有部分を通らないと入れないような構造だと構造上の独立性があるとは言えません。
区分建物の構成要素
一棟の建物
区分建物全体の建物のことです。専有建物の入れ物と言えます。
専有部分の建物(専有建物)
マンションの各部屋の法的呼称です。
具体的な所有権の対象となる部分です。
共用部分
一棟の建物のうち、専有建物以外の部分のことを言います。
原則的にそのマンション住人全員の共有となります。
共用部分には法定共用部分と規約共用部分があります。
法定共用部分
法定共用部分とは、マンションの共用部分の中で法律上当然に定められている共用部分です。
法定共用と定められている部分に玄関ホール、共用廊下、共用階段、エレベータ&エレベータホール、機械室、電気室、パイプスペース、メーターボックスなど。
ここで重要なのは隔壁、床、天井スラブ、ベランダ・バルコニーなどは共用部分となることです。
隔壁、床、天井スラブは共用部分ですので損傷、加工はしてはダメです。
あとベランダも共用部分です。
ベランダはそれぞれの部屋に割り当てられたりしているので自分の専用スペースと思ってる人も多いですが、実は共用部分です。
利用方法は規約に定められていますが、主に火災時の避難路などに利用することが想定されています。
規約共用部分
規約共用部分とは、本来なら専有建物として登記可能な部分を住民の福利厚生などのために規約で共用部分と定めた場所のことです。
例としては管理人室(法定共用の場合もある)、集会所、ゲストルーム、個別ガレージなどです。
最近ではアスレチックジムや温泉浴場などを備えるマンションもあります。
まとめ
建物と土地がワンパック
マンションの登記が一戸建ての登記と一番違うのは、土地の登記を敷地権という処理をして、建物と土地の登記がワンパックになっているところです。
こうすることにより、建物と土地の登記が泣き別れになることがなく、手続きも簡便になります。
ただし、小規模なマンションなど、敷地権の登記をしていないマンションもあるので、登記を確認してくださいね。
なんとなく住んでたけど、マンションってかなり複雑なのね。
そうだな。複数の赤の他人同士が同じ建物内で共同生活するのだから、一戸建てより複雑なルールは多い。
でも、自分が済んでるマンションで安心・快適に生活するためには大切なことなんだね。
そういうことなのぜ。
じゃ、今回はこれで終わろうか。
今日も解説ありがとう、魔理沙!
どういたしましてなのぜ!
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